こちらでは、PMIDを使った簡単で実用的な論文の調べ方を紹介します。
PMIDとは
PMID(PubMed Unique Identifier)とは、PubMedが付与している各文献固有のID番号です。
いわば論文のマイナンバーのようなもので、パブメドアイディーと呼ばれています。
PubMedは、アメリカ国立衛生研究所内の国立医学図書館の一部署である国立生物工学情報センター(NCBI)が無料公開している、医学系雑誌の掲載記事検索データベース。
過去の収録データから最新情報まで、約3000万件を超える文献が検索できます。
誰でも無料で文献を検索でき、Free articleとブラウンの表示がある論文は無料で読むこともできますが、大半の論文は有料です。
下の図のように、PMIDは検索結果一覧(Summary形式)では各文献情報の下に6~8桁ほどの数字(下図の赤○部分)で表示されています。
引用文献などの場合も同様なので、すぐに確認できるでしょう。
すでに目的の文献のPMIDがわかっている場合は、検索画面でその番号を入力すれば一発でその論文にたどり着けるのでとても便利。
検索でヒットした論文を後からチェックしたり、他人と共有したりする時は、この番号さえメモしておけばよいのです。
PMIDを使った検索方法
PMIDを使った論文検索は、とても簡単です。
PubMedなら検索欄にそのまま入力するだけですし、論コレなら専用の入力欄が用意してあります。
ここでは試しに、論コレの誕生日の数字を入力してみると……
一発で論文が表示されました。
論文のタイトルをメモしたり、URLをコピーしたりといった管理は面倒なもの。
論文検索には、ぜひPMIDを活用してください。
PMIDとPMCIDの違い
PMIDとよく似たものにPMCIDというものがあります。
このPMCIDは、発表から一定期間が経過してアーカイブ(保管)された論文に付与される番号で、PMCIDが付いた論文は無料で読めます。
PMC(PubMed Central)はPubMedと同じNCBIが管理する生物医学・生命科学のオンライン論文保管庫。
所蔵されている全論文が無料公開されています。
なお、PMCの文献も、最新の文献も、PubMedや論コレの検索で両方カバーできます。
その他に論文に付与されるIDや番号
DOI(Digital Object Identifier)
DOIとは、電子化文献(Digital Object)に付与される国際的な文献固有の識別番号。
一度付与されると変わることがなく、常に同じURLで論文にアクセスできる便利な仕組みです。
番号は国際DOI財団によって付与される「プレフィックス」と、ジャーナルによって付与される「サフィックス」がスラッシュで区切られて構成されています。
「https://doi.org/(DOIコード)」をブラウザに入力すれば、その論文の配布ページへダイレクトにアクセスできます。
NAID(NII論文ID)
日本の国立情報学研究所(NII)が運営する、日本語論文をメインとした学術情報データベース「CiNii」が独自に付与している論文IDです。
PMID同様にID検索によって、特定の文献を見つけることができます。
ORCID
こちらは余談ですが、論文ではなく研究者に割り振られる「研究者マイナンバー」にあたるIDです。
同姓同名や改姓に関係なく研究者を特定するために、2012年から運用されています。
複数の学術コミュニティ機関によって設立された「ORCID.org」によって管理され、登録された研究者には16桁の番号が付与されています。
URLで定義されていることもあり、DOIの研究者バージョンとも言えます。
「http://orcid.org/(研究者のORCID)」をブラウザに入力すればその研究者の論文が見つかります。
まとめ
学術論文にはさまざまなIDが割り振られています。
それぞれ、知っていればとても便利な使い方ができるので、ぜひ活用してください。