炭酸水やミネラルウォーターなど、近年、水に対する健康意識は高まっています。
水素水もそのひとつで、市販されているほか、水素水を作る機器も発売されています。
ただ、本当に水素水に効果があるのか、イマイチ確信が持てない人もいるでしょう。
そこで今回は、水素水の効果のエビデンス(科学的根拠)を示した海外論文をいくつか、論文入手サービスの『論コレ』よりご紹介します。
水素水の効果・効能
水素水が美容や健康に効果があるとされる最大の理由は、その「抗酸化力」にあります。
水素には、ビタミンCやE、カテキン、ポリフェノールといった有名成分よりもはるかに優れた抗酸化力があると言われています。
《水素水に期待される効果》
【老化防止効果】…しわの軽減、抜け毛・白髪予防
【日常的疾患への効果】…便秘、疲労回復、肩こり、睡眠障害の改善、ストレス緩和
水素水には「効果なし」の声も多数
極めて多くの可能性を秘めている水素水ですが、一方で効果については研究者の間でも意見が分かれています。
その理由として考えられるのは、以下の3つです。
- 水素水というものへの定義が明確化されていない
- 水素の取り扱いが難しい
- 実験数が十分ではない
水素水を選ぶとき注目するべきは、製品の水素含有量です。
というのも、どれだけ水素を含んでいたら水素水なのかという明確な基準がなく、市販の水素水には効果を感じるのに十分な量の水素が含まれていない商品も多いのです。
水素自体には健康効果の科学的根拠が認められているので、効率よく水素を摂取できる水素水を選べるかどうかが、効果の有無に大きく関わってくるでしょう。
水素水の効果のエビデンスとなる海外論文
『水素水を飲むことは持久力を高め、精神的疲労を和らげる効果がある』
(Canadian journal of physiology and pharmacology 2019 Sep;97(9):857-862)
こちらの論文は、複数の日本人が中心となって研究されました。
水素水を飲んで運動することで、身体に起こる組織の損傷や疲労にどのような効果があるか実験しています。
『水素が豊富な水は、健康な成人の炎症反応を軽減し、末梢血細胞のアポトーシスを防ぐ』
(Scientific reports 2020 07;10(1):12130-12130)
2020年7月に発表された、比較的あたらしい論文です。
「水素水を飲むことでの人体への健康効果のエビデンスは少ない」とし、様々な角度から水素水の効果を証明しようと研究されています。
水素水とそうでない水を4週間継続して摂取させ、健康状態の推移を比べながら水素水の可能性を実証しています。
『水素水はマウスの閉塞性気道疾患を軽減する』
(General thoracic and cardiovascular surgery 2020 Feb;68(2):158-163)
日本人研究者によって書かれた、読みやすい論文です。
実験対象がヒトではなくマウスであるものの、水素水の継続的な投与により気管支炎などの疾患の発症が抑制されたという結論に至っています。
対人間への治療にも期待ができるという前向きな結果が示されました。
『水素が豊富な水を急激に摂取しても、アスリートのランニングパフォーマンスは向上しない』
(Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme 2020 May;45(5):513-519)
水素水が、運動時のパフォーマンス向上に効果があるか否かを実験した論文です。
男性ランナー14人を対象とした実験ですが、結果としては、アスリートレベルの持久力運動に対して水素水はあまり大きな影響をもたらさないというデータとなっています。
『メタボリックシンドロームの男女の体組成、血中脂質の分析、および炎症バイオマーカーに対する24週間の高濃度水素水の影響』
(Diabetes, metabolic syndrome and obesity : targets and therapy 2020;13(-):889-896)
メタボリックシンドロームへの水素水の効果を研究した論文。
被験者が多く、実験としての信憑性が高い点がポイントです。
高濃度の水素水を一定期間摂取した結果、血中コレステロール値が低下することがわかりました。
『水素水はアトピーのような病変の重症度を改善し、NC/Ngaマウスのインターロイキン-1β、-33、および肥満細胞の蓄積を抑える』
(Diabetes, metabolic syndrome and obesity : targets and therapy 2020;13(-):889-896)
アトピー性皮膚炎に対して水素水が効果を発揮するメカニズムを解明するべく様々な実験が行われました。
日本人研究者を中心に行われた本研究では、アトピー性皮膚炎を発症しているマウスに精製水と水素水を継続的に与え、細胞の水分量や炎症度合いなどを比較しています。
『水素が豊富な水は、食作用を高めることにより、肺や血液から微粒子を取り除く』
(Journal of biomedical research 2017 Nov;-(-):)
水素水が身体の細胞の動きを活性化させ、病気につながるリスクのある物質を効果的に排除できるという研究結果を示した論文です。
水素水の可能性に大きな期待を込めています。
さいごに
くり返しになりますが、水素水の効果については研究者によって意見が割れており、一概に断言はできません。
水素水の定義が明確でないことを理解したうえで、水素含有量を重視した水素水選びがポイントとなるでしょう。
今回ご紹介したもの以外にも、水素水の効果のエビデンスとなりそうな論文は多く、論コレで検索しても40件以上ヒットします。
水素水について興味がある方は、この機会に世界の論文を読んでみてはいかがでしょうか。