医療裁判と医学論文
医療事件において、まず弁護士が行う作業は有用な医学論文を収集することといわれています。
なぜなら、案件に関する医学的知識が必要となるからです。
基本的な知識がなければ過失があったのか、また適切な治療を施したが避けられなかったのか判断をすることはできません。
もちろん文献情報だけで結論を出すことができるわけではありませんが、協力医の意見を得るにしても適切な質問をし、正確な事案の見通しを立てるためにも一定レベルの知識が必要不可欠となってきます。
今回は医療裁判に焦点をあてながら、論文の入手方法についてお話していきます。
医療文献は治療法の根拠となる理由
どうして医学論文が治療法の根拠となるのでしょうか。
そもそも医学論文は医療従事者によって書かれ、日々行われている臨床研修の結果が書かれています。
研究→発表→医療の発展というように、常に最新の研修内容をアップデートしていき、全世界で治療の可能性を共有し、正確に研究結果を伝えるために必要不可欠なものです。
例えば、死亡例は低いが、ごく稀に重篤な副作用があった場合、論文を公表しなければその場に立ち会った人間以外は知りえないことですが、情報を公開すればその稀に起こる最悪な事態にも世界の医療機関が対処できるようになります。
いわば論文はエビデンスに基づいた資料と言えるのです。
医療裁判での論文活用
実際に医療裁判ではどのように医学論文が活用されているのでしょうか。
基本的な知識を入手するのであれば、成書(医学に関する教科書のようなもの)を読むという方法があります。成書は標準的な内容が掲載されているため分かりやすく、比較的入手がしやすいです。
しかし、過失の有無や診療行為・結果の因果関係を法的な観点から整理するには不十分なため、医学論文を読む必要があります。
医学論文には原著論文・総説・症例報告があり、文献が作成された時期に注意をする必要はありますが、様々な文献を比較対照しながら整理することが可能です。
海外論文はPDFでの入手がおすすめ!
海外の医学論文を入手するのであればPDFデータで入手することをお勧めします。文献手配会社では海外出版社が販売しているPDFを代行で取り寄せることが可能です。
PDFで文献を受け取るメリットは計りしれません。
1、入手までのスピードが早い
2、保管場所に困らず管理がしやすい
3、PDF内の文字検索が可能 ※一部非対応
4、翻訳機能が使える ※テキストファイルのみ
5、supplemental date(補足資料)が入手できる
など、メリットは明白です。また手持ちのタブレットやパソコンで持ち運びができることも大きなメリットとなります。
限られた時間の中で証拠価値が高い論文を探し出すためにも、文献手配会社の利用も視野にいれてみてはいかがでしょうか。